介護業界における人材育成の取り組み方|現場改善で離職率を減らす方法
- Revior
- 2025年8月23日
- 読了時間: 15分

▶︎1. 医療・介護現場に関するこれからの技能実習生と特定技能実習生の基礎知識

1.1 技能実習生と特定技能生の基本的な違い
医療・介護現場で外国人材を受け入れる際、まず押さえておきたいのが「技能実習」と「特定技能」の違いです。目的や在留期間、求められるスキルレベルなどが異なるため、現場のニーズに合わせた制度選択が欠かせません。
技能実習は、本来「母国への技能移転」を目的に設計されています。日本で一定期間、実務を通じて技術を学び、それを母国に持ち帰ることが前提です。一方で特定技能は、日本の深刻な人手不足を補うための就労制度であり、長期的な勤務や専門性の高い業務への従事が可能です。
具体的には以下のような違いがあります。
目的
技能実習:国際貢献を目的とした技能習得 特定技能:人手不足分野での即戦力としての就労
在留期間
技能実習:最長5年 特定技能:特定技能1号は最長5年、2号は在留期間の更新が可能(介護分野は2号対象外)
日本語要件
技能実習:明確な試験基準はないが、日常会話が可能なレベルが望ましい 特定技能:試験合格(技能試験と日本語試験)が必要
職務範囲
技能実習:契約で定められた職種・作業内容に限定 特定技能:分野内で幅広い業務が可能
医療・介護分野の場合、特定技能は介護資格取得を条件に、より幅広い業務を担当できます。一方で技能実習は、現場での基本業務を中心に経験を積ませる形になります。
現場で制度を正しく使い分けることが、安定した人材確保とサービス品質向上の第一歩です。
1.2 制度の移行と医療・介護分野への影響
2027年をめどに、現在の技能実習制度は「育成就労制度」へと移行する予定です。
この変更は、医療・介護現場にとっても大きな意味を持ちます。従来の制度で指摘されてきた、目的と運用のずれや長期就労の制限といった課題を見直し、より現場ニーズに即した人材確保を可能にする狙いがあります。
移行の背景には、以下のような理由があります。
技能実習制度が「国際貢献」から「労働力確保」に偏って運用されてきた現状
長期的なキャリア形成やスキル向上が難しかったこと
実習生の転職や職場変更が制限され、人材の流動性が低かったこと
新制度では、就労目的を明確化しつつ、より実務に沿った技能習得とキャリア形成を重視します。 特定技能への移行ルートも整理され、介護分野では特定技能1号取得後、試験合格を経てより高度な業務を担当できる道が開けます。
医療・介護分野への主な影響は次の通りです。
長期的な勤務が可能になり、現場の教育投資が無駄になりにくい
人材定着率が向上し、離職による再採用コストの削減が期待できる
受け入れ施設が人材育成計画を立てやすくなる
この移行期に、施設としてどのような人材戦略を取るかが、今後のサービス品質と経営安定に直結します。
▶︎2. 医療・介護現場で求められる技能実習生と特定技能実習生の育成手段

2.1 技能実習制度の課題と現場での改善ポイント
医療・介護分野で技能実習生を受け入れてきた現場では、制度上の制限や運用上の問題がいくつも浮き彫りになっています。これらの課題を理解し、改善につなげることが、これからの育成手段を考える土台になります。
よく見られる課題は次の3つです。
長期就労が難しい
技能実習制度は最長5年の在留期間しかなく、習熟した人材が帰国してしまうケースが多くあります。医療・介護現場では、人材育成にかけた時間やコストが無駄になりやすいのが大きな痛手です。
職務範囲の制限
実習生は契約で定められた業務以外を担当できません。たとえば介護現場で、入浴介助や食事介助はできても、記録業務やレクリエーション企画など幅広い役割を担えない場合があります。
日本語力とコミュニケーションの壁
医療・介護は利用者との対話が重要ですが、制度上の日本語要件が低く、配属後に現場で言葉の壁に直面するケースが多くあります。誤解や指示の不徹底は、安全面にも直結します。
改善のためには、次のようなアプローチが有効です。
長期就労を見据えたキャリア設計:特定技能への移行ルートを事前に計画することで、育成投資を活かせます。
多職種連携を前提とした教育:現場に必要な業務範囲を整理し、契約内で最大限に経験を積めるような研修を設計します。
段階的な日本語研修の導入:日常会話から専門用語まで、現場に合わせた日本語習得計画を組み込みます。
制度の限界を理解しながら、現場に合った育成計画を立てることが、安定した受け入れの第一歩です。
2.2 新制度がもたらす人材育成と定着のチャンス
育成就労制度の導入は、医療・介護現場にとって単なる制度変更ではありません。 これまでの技能実習制度で感じていた制限を緩和し、より長期的かつ計画的な人材育成が可能になる大きなチャンスです。
特に注目すべき変化は以下の3つです。
長期就労の可能性拡大
特定技能への移行がスムーズになり、同じ人材が5年以上勤務できる道が広がります。これにより、施設側は長期視点での教育投資がしやすくなります。
職務範囲の柔軟化
新制度では、現場で必要な業務を幅広く担当できるよう調整される方向です。介護の現場では、身体介護だけでなく記録作業やレクリエーションなど、より多様な業務を経験させやすくなります。
キャリア形成支援の重視
制度上、育成計画の提出や進捗確認が求められることで、各施設が体系的な研修やスキル評価を導入する必要性が高まります。これにより、現場全体の教育水準が上がる可能性があります。
医療・介護の現場では、単に人手を補うだけでなく、利用者との信頼関係を築けるスタッフを育てることが重要です。 新制度をうまく活用すれば、人材の定着率を上げつつ、サービス品質を継続的に向上させる好循環を作れます。
▶︎3. 医療・介護分野における制度比較と育成手段の選び方

3.1 在留期間・日本語要件・転職可否の違い
技能実習と特定技能は、制度の目的や条件が大きく異なります。特に在留期間、日本語要件、転職の可否は、医療・介護現場での受け入れや育成計画を立てるうえで欠かせないチェックポイントです。
まず、それぞれの特徴を整理します。
在留期間の違い
技能実習:最長5年。1号(1年)、2号(2〜3年)、3号(2年)の合計で5年間となります。
特定技能1号:最長5年。5年後には帰国が必要ですが、他分野への移行や永住への道も可能。
特定技能2号:在留期間の更新が可能で、事実上長期就労が可能(ただし介護分野は対象外)。
日本語要件の違い
技能実習:制度上の明確な試験合格要件はなく、日本語力は個人差が大きい。
特定技能:日本語能力試験(N4以上)と技能試験の合格が必須。介護分野ではさらに専門的な日本語力が求められます。
転職可否の違い
技能実習:原則として職場変更は不可。同じ事業所で契約を全うする必要があります。
特定技能:同一分野内であれば職場変更が可能。より良い条件や環境を求めることができます。
こうした違いは、現場運営に大きな影響を与えます。たとえば特定技能人材は入職時点で一定の日本語力と技能を持ち、早期に現場へ適応しやすい傾向があります。逆に技能実習生は基礎から育成が必要なため、教育期間やOJTの計画をしっかり組むことが欠かせません。
医療・介護現場で制度を選ぶ際のポイントは次の通りです。
長期的に働いてもらいたい場合は特定技能2号(介護以外)や特定技能1号からの延長を視野に入れる
日本語力が業務品質に直結するため、採用前にレベルを確認し、必要に応じて研修を実施する
育成期間と戦力化までの時間を制度ごとに想定し、シフト計画や人員配置に反映する
制度の違いを正しく理解し、自施設のニーズや現場の実情に合った人材戦略を立てることが、安定運営への第一歩です。
3.2 特定技能への移行ルートと現場研修の工夫
技能実習生から特定技能への移行は、医療・介護現場における長期的な人材確保の大きなカギです。移行ルートを理解し、現場での研修やサポート方法を工夫することで、育成効果と定着率を高められます。
主な移行ルート
技能実習2号を修了後、特定技能1号の試験(技能試験+日本語試験)に合格して移行
海外または国内から直接、特定技能1号の試験を受けて新規受け入れ
他分野で特定技能を取得した人材が、介護分野へ転職(試験条件あり)
医療・介護分野では、多くが「技能実習→特定技能1号」への移行パターンです。これは、すでに現場経験を積んでいるため、業務への適応がスムーズだからです。
現場研修の工夫ポイント
スキル評価の段階化
実習期間中に定期的なスキルチェックを行い、到達度を数値化
試験合格に必要な課題を明確にして重点的に指導
専門用語と業務手順の強化
介護記録や医療機器操作に必要な用語を日常業務に取り入れて学習
利用者対応や緊急時対応など、現場特有の場面別トレーニング
OJTと座学の組み合わせ
実務経験を通じた学びを重視しつつ、試験対策用の座学も実施
経験豊富なスタッフをメンターとして配置し、個別フォロー
モチベーション維持
合格後のキャリアや給与アップなど、具体的な将来像を共有
成果を可視化し、本人と職場全体で喜びを共有する文化づくり
特定技能へのスムーズな移行は、即戦力化だけでなく長期定着にもつながります。 医療・介護現場に合った研修体系を整えることで、人材の価値を最大限に引き出せます。
▶︎4. 医療・介護施設が実習生の受け入れから得られるメリットと注意すべき課題
4.1実習生 受け入れによる業務改善と人員確保
医療・介護施設が技能実習生や特定技能実習生を受け入れる最大のメリットは、人員不足の解消と業務改善の加速です。ただし、受け入れさえすれば効果が出るわけではなく、計画的な育成手段や現場の仕組みづくりが伴ってこそ成果が出ます。
受け入れによって得られる効果
業務分担の効率化:基本業務を任せられる人材が増えることで、ベテランスタッフは専門性の高い業務に集中可能
長期的な人員安定:特定技能への移行や更新を活用すれば、同じ人材が長く働く体制を構築できる
サービス品質の向上:業務負担の軽減により、利用者へのケアに時間を割けるようになる
よくある失敗例とその改善策
教育不足で即戦力化が遅れる
入職後に十分な研修やOJTがないため、業務を任せられるようになるまで時間がかかる
改善策:入職前研修+段階的OJTをセットで計画し、到達度を数値で管理
言語の壁で指示が伝わらない
利用者とのコミュニケーションや緊急対応で誤解が生じる
改善策:業務に必要な専門日本語リストを作成し、日常的に練習
業務範囲が固定されすぎて柔軟性がない
制度や契約の制限により、必要な時に臨機応変な対応ができない
改善策:特定技能制度への移行や複数業務経験を積ませる計画を導入
受け入れ効果を最大化するためのポイント
配属前に役割分担を明確にし、スタッフ全員で理解共有
進捗や課題を定期的にミーティングで確認
実習生の成長を見える化し、本人と職場全体で共有してモチベーションを高める
計画的な育成手段と現場全体の協力体制があってこそ、受け入れの効果は最大化します。
4.2 実習生が安心して働ける環境づくり
医療・介護現場で技能実習生や特定技能実習生を長く定着させるためには、育成手段だけでなく「安心して働ける環境づくり」が欠かせません。職場環境が整っていないと、せっかく育成した人材が早期に離職してしまうリスクがあります。
安心して働ける環境が必要な理由
医療・介護は利用者との関わりが密接で、精神的負担が大きい
文化や言語の違いによる孤立感やストレスが発生しやすい
職場での支援が不足すると、モチベーションが低下しやすい
よくある課題と改善策
人間関係の不安や孤立感
現場のスタッフとの交流が少なく、孤立しがち
改善策:定期的な交流イベントやチームミーティングで関係構築
生活面の支援不足
住居や生活習慣の違いからくる不安を放置
改善策:生活サポート担当者を設置し、日常生活の相談体制を確保
研修内容が現場に合わない
実務に直結しない内容で、現場適応に時間がかかる
改善策:業務に即した研修カリキュラムを作成し、OJTと座学を組み合わせる
環境づくりの具体的なポイント
配属初日からのオリエンテーションで職場ルールやスタッフ紹介を行う
日本語・母国語での情報提供を組み合わせて理解度を高める
小さな成功体験を積ませ、定期的に評価して承認する文化を作る
問題発生時に迅速に対応できる相談窓口を常設
安心できる職場環境は、定着率だけでなく業務効率や利用者満足度向上にも直結します。 育成手段とセットで環境整備を行うことが、安定した人材確保の基盤になります。
▶︎5. 医療・介護現場で成果を上げる特定技能実習生の育成手段
5.1 現場での即戦力化を実現する教育・トレーニング
医療・介護現場で技能実習生や特定技能実習生を即戦力に育てるには、実践的な教育とトレーニングが欠かせません。単に知識を詰め込むだけでなく、現場の流れに沿ったスキル習得が重要です。
よくある失敗例とその解決策は次の3つです。
座学中心で実務との乖離が大きい
理論ばかりで実際の動きがイメージできず、業務に活かせないケース。 解決策は、OJTを組み込みながら実務に即した研修を行うこと。
研修計画が一律で個々の理解度に対応できていない
スキル差を考慮しないと、遅れた人が取り残されやすい。 解決策は、段階的かつ個別フォローを組み合わせる教育設計。
フィードバックや評価が不十分
成長が見えずモチベーション低下を招く場合。 解決策は、定期的な評価と具体的なフィードバックで成長を実感させること。
例えば、忙しい介護施設の朝に実習生がスムーズに入浴介助をこなせると、スタッフの負担が大幅に減り、利用者の満足度も上がります。 現場に根ざした教育・トレーニングを計画的に行うことが、即戦力化の鍵です。
5.2 定着率を高める支援体制とフォローアップ
医療・介護現場での技能実習生や特定技能実習生の育成は、教育だけでなく継続的な支援体制とフォローアップが欠かせません。これがないと、せっかく育てた人材が早期に離職してしまうリスクが高まります。
よくある課題と対策は次の3つです。
定期的な面談や相談窓口がない
不安や悩みを抱えたまま働くことでストレスが蓄積します。 解決策は、定期的な面談や相談体制を整え、声を聞く機会を設けること。
育成計画の進捗管理が不十分
目標が曖昧だと成長実感が薄れ、モチベーションが下がります。 解決策は、育成計画を明確にし、進捗を可視化して共有すること。
職場の理解不足による孤立感
周囲のスタッフが実習生の成長過程を理解していないと、サポートが不足しがちです。 解決策は、職場全体で実習生の状況を共有し、協力体制を築くこと。
たとえば、忙しい介護現場で定期面談があると、実習生の悩みが早期に発見でき、対応につなげられます。 フォローアップ体制を整えることで、定着率向上と職場の安心感を高められます。
5.3 業務改善とサービス向上を両立する育成手法
医療・介護現場で特定技能実習生の育成を進める際は、単なるスキル習得だけでなく、業務改善やサービス品質向上にもつなげる育成手法が求められます。
よくある課題と解決策は以下の通りです。
育成が業務に直結しない
教育内容が現場の実態と乖離し、即戦力化につながらない場合があります。 解決策は、現場の課題やニーズを把握し、それに即した研修プログラムを設計すること。
サービス品質の意識が浸透しない
単に作業をこなすだけで、利用者満足につながる視点が不足することがあります。 解決策は、利用者対応やコミュニケーションスキルを含めた総合的な育成を行うこと。
現場改善が一過性で終わる
研修効果が持続せず、時間が経つと元の状態に戻るケースもあります。 解決策は、継続的な評価とフィードバックを行い、PDCAサイクルを回す仕組みを導入すること。
具体的には、研修で学んだ内容を日々の業務改善に活かせるよう、実習生自身が提案や振り返りを行う機会を設けることが効果的です。 育成と業務改善を連動させることで、現場の効率化とサービス向上が同時に実現できます。
▶︎6. まとめ
6.1 制度変更のポイントと現場が準備すべきこと
2027年に予定されている技能実習制度から育成就労制度への移行は、医療・介護現場に多くの変化をもたらします。現場がスムーズに対応するためには、制度変更のポイントを正しく理解し、事前に準備を進めることが大切です。
主なポイントは次の3つです。
制度目的の明確化
育成就労制度は人材の長期的育成と定着を目的としており、単なる労働力確保ではない点を認識する必要があります。
育成計画の策定と実行
施設ごとに育成計画の作成が義務付けられ、進捗の把握と評価が求められます。これには現場スタッフの協力も不可欠です。
研修・支援体制の整備
教育内容の見直しやフォローアップの強化が必須となり、オンラインや現地研修など多様な方法を組み合わせて効果的な育成を図ります。
これらの準備を怠ると、制度変更後の運用で混乱や人材流出が起きやすくなります。 早めに対応策を講じることで、医療・介護現場の安定的な人材確保につながります。
6.2 医療・介護施設が取り組むべき人材戦略
制度変更を踏まえたうえで、医療・介護施設が取り組むべき人材戦略は「育成手段の多様化」と「職場環境の整備」に集約されます。
主なポイントはこちらです。
多様な育成手段の導入
現場研修、オンライン講座、定期的なスキル評価など、多角的な教育方法を組み合わせることが必要です。これにより、実習生一人ひとりの成長に対応できます。
職場環境の改善
言語や文化の違いを考慮したコミュニケーション支援や相談窓口の設置、スタッフ間の連携強化が重要です。安心して働ける環境が定着率を高めます。
キャリアパスの明確化
特定技能への移行や資格取得支援など、長期的なキャリア形成を支援する体制を構築することで、実習生のモチベーションアップにつながります。
医療・介護の現場は利用者の命や生活に直結するため、安定した人材確保が不可欠です。
今から計画的に人材育成と環境整備に取り組むことが、施設の持続的な成長に直結します。
▶︎技能実習生・特定技能実習生の育成支援なら、Reviorへ
医療・介護分野に特化した研修とフォロー体制で、現場の即戦力化と定着率アップを支援。経営改善から人材育成までトータルでサポートします。
詳しくはホームページをご覧ください。



コメント