デイサービス経営改善のコツ|利益アップと人材定着の秘訣
- Revior
- 7月23日
- 読了時間: 15分

▶︎1. デイサービス経営の現状と課題

1.1 デイサービスを取り巻く経営環境とは
近年、デイサービスを取り巻く経営環境は大きく変化しています。高齢化の進行により需要は増え続けていますが、それに比例して競争も激化。小規模な事業所にとっては、経営の安定が年々難しくなっているのが現状です。
特にここ数年は「介護報酬改定」や「人材不足」が経営に直撃しています。
たとえば、以下のような要因が経営を圧迫する主な背景です。
介護報酬の見直しによる収益減
利用者ニーズの多様化によるサービス対応の複雑化
慢性的な人材不足と採用コストの増加
地域内の競合施設との利用者獲得競争
こうした課題は、ただ「利用者数を増やせば良い」という単純な話では片づけられません。制度に沿った適正な運営と、限られた資源での効率的な経営管理が求められています。
また、現場で働くスタッフの負担が増え続けていることも見逃せません。人員配置や業務の効率化を怠ると、離職率の上昇やサービス品質の低下につながり、さらに経営を悪化させるリスクが高まります。
現実には、「赤字ギリギリの状態でなんとか続けている」という施設も少なくありません。 経費を削っても収益が改善されず、モチベーションが低下するという悪循環に陥りがちです。
このような状況を打破するには、まず自施設の現状を正しく把握し、外部環境と照らし合わせながら戦略的に改善していく姿勢が欠かせません。
1.2 よくある経営の悩みと赤字化の原因
デイサービスの経営者や管理者からよく聞かれる悩みのひとつが、「思うように利益が出ない」「毎月ギリギリで回している」といった声です。 一見、利用者も一定数いてサービスも提供できているように見えても、実は見えにくいところに赤字化の原因が潜んでいるケースが多くあります。
よくある経営の失敗パターンには次のようなものがあります。
① 稼働率の低さに気づいていない
毎日ある程度の利用者が来ていても、実際には定員に対して稼働率が70%を切っている場合もあります。稼働率が低ければ当然、収入は頭打ちになります。
② 加算をうまく取得できていない
加算制度は収益アップの重要な柱ですが、「取り方がわからない」「条件がややこしい」などの理由で取得をあきらめてしまっている施設もあります。加算なしでは、基本報酬だけでの経営は厳しい状況です。
③ 職員配置が適正でなくコスト過多
サービスの質を落とさないようにと手厚く職員を配置した結果、人件費が収益を圧迫するケースがあります。逆に人手が足りずに稼働が伸び悩むというジレンマもあります。
このような問題が重なると、たとえ利用者数が安定していても黒字化は難しくなります。
さらに、見落とされがちなのが「経営数値の可視化不足」です。売上や人件費は把握していても、サービスごとの利益率や稼働率推移を定期的に確認している施設は意外と少ないです。 数字を見ずに感覚だけで運営していると、改善のタイミングやポイントを逃してしまうことにつながります。
こうした課題を解決するには、以下のような対応が効果的です。
稼働率や利益率など「見える指標」を定期的にチェックする
加算要件を正しく理解し、無理なく取得できる項目から着手する
職員配置やシフトを分析し、無駄のないオペレーションを構築する
どれも一朝一夕ではできませんが、「気づいた時から改善する」ことで着実に経営は安定していきます。
1.3 現場で起きやすい改善ミスとその背景
経営をよくしようと改善に取り組むのは素晴らしいことですが、やり方を間違えると逆効果になることもあります。現場ではよく「改善したつもりが、かえって混乱を招いてしまった」という事例が見られます。
こんなミスが多いです。
① 職員の声を聞かずにトップダウンで改善を進める
現場の負担や流れを理解せずに、管理者だけで業務改善を進めてしまうと、職員から反発が出たり、うまく機能しなかったりします。改善策が形だけで終わってしまい、結局元に戻るケースも少なくありません。
② 改善の目的が曖昧で「やりっぱなし」になる
「とりあえず効率化」と始めた施策が、何を目的としているのか不明確なまま進み、最終的に現場に定着しないことがあります。明確な数値目標やチェック体制がないと、成果が見えず中途半端な結果になりがちです。
③ ツールや仕組みを導入しても運用が続かない
ICTや管理システムを導入したものの、「使い方が難しい」「現場の手間が増えた」といった理由で使われなくなるパターンです。特に高齢のスタッフが多い職場では、導入前の研修やサポート体制が欠かせません。
改善は「現場の声」と「継続できる仕組み」の両方がそろってこそ、効果を発揮します。
たとえば忙しい朝の送迎準備時間。ここに業務改善を入れるとき、現場の導線や時間配分を把握していないと、余計に混乱が生まれます。「5分短縮」のつもりが「10分遅延」になることもあるのです。
そのため改善を進めるときには、
スタッフの意見や業務実態をよく観察する
改善案は試行期間を設けて様子を見る
成果を定期的に確認し、必要に応じて見直す
といったプロセスを意識することが大切です。改善とは一度やって終わりではなく、「見直しと調整を続けること」が本当の成功につながります。
▶︎2. 経営改善に必要な視点とは

2.1 利益体質を作るために見直すべき項目
デイサービスの経営を安定させるには、単に売上を上げるだけでなく「利益が残る仕組み」を作ることが欠かせません。 そのためには、日々の運営に関わるさまざまな項目を細かく見直していく必要があります。
「収入」と「支出」それぞれに対して、どこに無駄があり、どこに伸びしろがあるかを把握することが大事です。
利益体質づくりのために、特に重要な見直しポイントは以下のとおりです。
① 稼働率の管理
1日あたりの利用定員に対して、実際の利用者がどれくらいかを把握していますか? 稼働率が80%を切っているようであれば、集客やキャンセル対策などの工夫が必要です。曜日ごとの偏りがある場合には、送迎ルートや提供サービスの見直しでバランスを整えると改善しやすくなります。
② 加算の取得状況
基本報酬だけでは十分な利益が出にくいため、取得可能な加算はしっかりと確認したいところです。 特に、機能訓練加算や個別機能訓練計画の充実などは、比較的取り組みやすく、かつ利益にも直結しやすい項目です。
③ 人件費の適正化
人件費の割合が70%を超えている場合は、配置バランスを見直すサインです。業務を細分化して役割を再編成することで、少ない人数でも運営が回る体制が作れる可能性があります。 介護スタッフ以外にも事務作業に人が多くかかっている場合は、ICT導入で時間短縮が期待できます。
④ 営業・広報活動の強化
施設の存在を地域にしっかりとアピールできていないと、新規利用者の獲得に結びつきません。 パンフレットの配布、ケアマネジャーとの連携強化、ホームページの改善など、地道な情報発信の積み重ねが、じわじわと稼働率の安定に効果を発揮します。
たとえば、ある週の火曜日だけ極端に空きが出るという状況。これに気づかず放置すると、売上は思ったより伸びません。でも曜日ごとの稼働率を把握し、空きが目立つ日にキャンペーンや無料体験などを導入すれば、自然と利用者が分散されて利益効率が上がります。
このように、「数字で見て判断する」「小さな工夫を積み重ねる」ことが、利益体質への第一歩です。
2.2 「利用者数」と「稼働率」の改善アプローチ
デイサービスの経営を安定させる上で、「利用者数」と「稼働率」は最も注目すべき指標のひとつです。 どちらか一方が良くても、もう片方が不安定では利益が出にくく、施設全体のパフォーマンスが落ちてしまいます。
理想は「定員に対して90%以上の稼働率」を維持することです。
では、具体的にどのようなアプローチがあるのか見ていきましょう。
① 利用者数を増やすための集客施策
ケアマネジャーとの定期的な面談や訪問
地域イベントへの参加や開催
無料体験や見学会の実施
ホームページやSNSでの情報発信強化
これらを定期的に行うことで、新規利用者の入り口を増やすことができます。 特に最近は、ネット経由での検索や情報収集をする家族も増えており、オンラインでの存在感を高めることが重要になっています。
② 稼働率を上げるための予約・稼働管理
曜日別の稼働率を把握し、偏りを調整する
送迎ルートを見直し、移動時間を短縮
キャンセル発生時の当日利用者対応(予備枠の用意)
短時間利用や午前午後分割型の導入(定員内での回転数向上)
特定の曜日に利用が集中している場合、少しでも他の曜日へ分散できれば、全体の稼働効率がぐっと上がります。 また送迎時間の見直しによって、1日2便の運用が可能になるなど、柔軟なスケジュール調整も改善に直結します。
③ 既存利用者の継続率アップも重要
サービス満足度の向上(食事、レクリエーション、雰囲気)
利用者家族との定期的なコミュニケーション
担当職員の安定配置による信頼関係の構築
一人の利用者が離脱すれば、その分だけ新規集客にかける労力も増えます。 「継続率の高さ」は実は稼働率の安定に大きく貢献しているんです。
2.3 加算の取得で収益を安定させるコツ
介護報酬の中でも、加算はデイサービス経営において非常に大きな役割を果たします。 基本報酬だけでは限界がある中、加算をうまく活用すれば、1人あたりの単価を10〜20%上げることも可能です。
しかし現実には、「要件がわかりにくい」「書類が大変そう」「人員配置が足りない」などの理由で、加算取得をあきらめている施設も少なくありません。
ここでは、収益安定に役立つ代表的な加算と、その取得を無理なく進めるポイントを解説します。
取得優先度が高い加算の例
個別機能訓練加算(Ⅰ・Ⅱ)
利用者の状態に応じた訓練内容を実施・記録することで取得できます。特別な機器がなくても対応できるため、取り組みやすい加算です。
入浴介助加算
多くの施設が提供しているサービスですが、要件を満たせば確実に加算対象となります。記録の徹底がカギになります。
科学的介護推進体制加算
情報をLIFEに提出する必要がありますが、ICTを活用することで負担を軽減できます。導入初期こそ手間はありますが、継続的な収益増につながります。
加算取得の失敗例と対策
① スタッフへの説明不足で現場に負担が集中
→ 取得前に「なぜ必要か」「どうすれば対応できるか」をしっかり共有しましょう。マニュアルや業務フローを整えると定着しやすくなります。
② 記録漏れで返戻になる
→ 書類や実施記録が要件を満たさず、返戻や減算になることも。チェックリストを導入して記録ミスを防ぎましょう。
③ 最初から全部を狙ってオーバーワークに
→ 一気に複数加算を導入しようとすると、現場がパンクします。最初は取り組みやすいものから1つずつ増やすのがコツです。
たとえば、個別機能訓練加算(Ⅰ)のみでも、月あたり1人約4,000円の収入増につながります。 20名の利用者が対象となれば、単月で8万円以上の加算収入。年間では約100万円近い差が生まれることになります。
加算は「収益安定の柱」として、確実に取り組むべき項目です。
制度を正しく理解し、無理なく運用できる仕組みを作ることで、収益の底上げが実現できます。
▶︎3. スタッフ・人材に関する課題と対策

3.1 職員の定着率が低い理由と改善法
デイサービスの現場で「職員が定着しない」という悩みはよく聞かれます。離職が多いと、採用や教育のコストが増え、サービスの質にも影響が出てしまいます。定着率を上げるには、職員が安心して長く働ける環境づくりが欠かせません。
定着率が下がる主な原因
人間関係やコミュニケーション不足
業務量と報酬のバランスの悪さ
キャリアパスや成長機会の不透明さ
改善のポイント
新人に育成担当をつけて不安を軽減
定期的な1on1面談でフォロー体制を整備
昇給や評価制度を明確にしてやりがいを提供
しっかり評価され、成長できる職場だと感じてもらうことが、定着率アップの近道です。
3.2 現場でよくある人手不足の誤解
「人手が足りない」と感じる現場でも、実は人員配置や業務の流れに問題があることが多いです。本当に必要な人員を見誤ると、非効率な状態が続き、余計なコストや疲弊を招いてしまいます。
よくある誤解とその背景
人数はいるが業務分担が偏っている
パートや時短職員を正しくカウントしていない
手作業の多さで無駄な時間が発生している
改善のための見直しポイント
業務フローを棚卸しして見える化
適切な役割分担とスタッフ配置の最適化
ICTツールの導入で事務作業を効率化
人を増やす前に、現状の体制を整えることが人手不足解消の第一歩です。
3.3 人材育成と評価制度の見直しで生まれる効果
人材の定着だけでなく「育つ仕組み」を作ることが、現場力とサービス品質の向上につながります。育成や評価制度が整っていないと、職員のモチベーションが下がりやすく、離職のリスクも高まります。
育成・評価でよくある課題
OJT任せで教え方が統一されていない
頑張っても評価されず不満がたまる
キャリアアップの道筋が見えない
見直すべきポイント
育成マニュアルやチェックリストの整備
数値や行動ベースの評価制度の導入
半期ごとの目標設定とフィードバック面談
育成と評価を仕組み化すれば、職員は安心して長く働き、自然と現場の力が強くなっていきます。
▶︎4. サービスの質と差別化で選ばれる施設に
4.1 デイサービスの強みを明確に打ち出す方法
競合が多いなかで、選ばれるデイサービスになるには「自施設ならではの強み」をしっかり打ち出すことが大切です。利用者や家族、ケアマネジャーにとってわかりやすく、印象に残るポイントが必要です。
強みが伝わらない主な理由
他施設と差別化できていない
サービス内容がぼんやりしている
情報発信が不足している
強みを明確にする方法
地域性・利用者層に合ったサービスを整理
他施設にはない特徴(食事、機能訓練など)を言語化
パンフレットやホームページに強みを具体的に記載
「何がいいのか」が一目で伝われば、自然と利用希望者は集まります。
4.2 「満足度アップ」のための業務改善ポイント
利用者満足度が高い施設は、継続率が高く、紹介や新規利用にもつながりやすくなります。日々の業務改善が、そのまま利用者の満足につながることを意識することが大切です。
満足度を下げてしまう要因
スタッフの対応にバラつきがある
送迎や食事提供に遅れがある
レクリエーションがマンネリ化している
改善すべきポイント
接遇マニュアルや対応ルールの統一
業務の時間配分を見直し、遅延を防ぐ
季節行事や趣味を取り入れた活動内容の工夫
小さな「気配り」が積み重なることで、安心して通える施設という信頼が築かれます。
4.3 地域との連携が経営を支える理由
デイサービスは地域に根ざしたサービスのため、地域との良好な関係が経営安定に直結します。地域連携を強化することで利用者の安心感が高まり、紹介や信頼獲得にもつながります。
地域連携が不足する理由
ケアマネジャーや医療機関との接点が少ない
地域イベントや会議に参加しない
情報共有が十分でない
地域連携強化のポイント
ケアマネジャーと定期的な情報交換を行う
地域の福祉や健康イベントに積極的に参加・協力する
地域住民向けの見学会や体験会を開催する
地域との信頼関係が強いと、安定した利用者獲得と良好な評判につながります。
▶︎5. 経営管理の見える化とIT活用
5.1 経営数値を毎月チェックすべき理由
経営改善の基本は、数字を正確に把握して現状を把握することです。数値の見える化ができていないと、問題点の特定や改善策の効果測定が難しくなります。
数値管理が甘いと起きる問題
赤字の原因がわからない
無駄なコスト削減ができない
早期対策が遅れて経営悪化
毎月チェックすべき主な経営数値
利用者数・稼働率
売上・収益
人件費率・経費の推移
加算取得状況
数値を把握し、問題を早期に発見できれば、経営の舵取りがより正確にできます。
5.2 無理なくできる業務効率化とICT導入
デイサービスの現場は多忙で、効率化は重要課題です。しかし、急激な変化は現場の負担になるため、無理なく進めることがポイントです。
効率化が進まない原因
使いづらいツールを導入している
現場の意見を反映していない
変化に対する抵抗感が強い
無理なく進めるためのコツ
スタッフの声を聞きながら段階的に導入
操作がシンプルなICTツールを選ぶ
研修やサポート体制を充実させる
効率化で生まれた時間は、利用者対応やサービス向上に使うことができます。
5.3 データに基づいた意思決定で失敗を防ぐコツ
経営判断を感覚だけに頼ると、思わぬ失敗や機会損失が起きやすくなります。データを活用した意思決定はリスクを減らし、的確な経営改善につながります。
データ活用が不足すると起きる問題
効果のない施策を続けてしまう
問題の本質を見誤る
予算配分の無駄遣い
失敗を防ぐためのポイント
毎月の数値をグラフや表で見える化
目標値と実績を比較し、ズレを把握する
数値の変動要因を分析し原因を特定する
データを元に意思決定することで、より正確で効率的な経営改善が実現します。
▶︎6. まとめ:デイサービス経営改善の成功は「継続と仕組み化」
6.1 経営改善に必要な視点の振り返り
デイサービス経営の改善には、多角的な視点が必要です。一つだけに偏らず、全体をバランス良く見ながら取り組むことが重要です。
振り返るべき経営改善のポイント
利用者数や稼働率の定期チェック
加算取得による収益強化
人材の定着と育成体制の構築
サービスの差別化と地域連携の推進
業務効率化とICT活用による負担軽減
データに基づく意思決定
これらをバランスよく見直しながら、継続して改善していくことが成功の鍵です。
6.2 無理なく改善を継続させるためのポイント
経営改善は一度やって終わりではなく、継続することが大切です。負担をかけず、無理なく続ける工夫が成功を左右します。
継続のために大事なこと
小さな改善を積み重ねる
スタッフ全員で目標を共有する
定期的に数値や成果を振り返る
改善案は試行期間を設けて様子を見る
無理な負担をかけず、段階的に導入する
続けることで習慣化し、自然と成果が出るようになります。
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